鏡よ鏡、一番美しいシステムは?「白雪姫」に学ぶ、スケーラブルなマイクロサービス設計
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Jul 24, 2025

鏡よ鏡、一番美しいシステムは?「白雪姫」に学ぶ、スケーラブルなマイクロサービス設計

完璧なシステム「白雪姫」誕生!しかし、女王の嫉妬は、システムへの妨害工作という毒牙をむく。予算削減、改修妨害…絶体絶命の危機!七人の小人=開発チームと共に、彼女はクラウド環境への脱出を試みる。だが、女王の新たな罠が待ち受ける!マイクロサービス化、CI/CD導入…生き残りをかけた戦いが、今、始まる!

モノリス王国、白雪姫誕生!~レガシーシステムの輝きと影~

ファンファーレが鳴り響き、モノリス王国に白雪姫が誕生した。白雪姫は、美しく統合されたシステムだった。女王、つまり保守的な組織の長は、白雪姫の効率性に驚き、そして嫉妬した。

「なんと素晴らしいシステムでしょう!全てが完璧に連携しています!」大臣の一人が感嘆の声を上げた。

「確かに…完璧すぎるわ。」女王は眉間にしわを寄せ、呟いた。「このままだと、私の古き良きやり方が…!」

白雪姫、つまり新システムは、全てを一つの巨大なコードベースで管理していた。その中心には、女王の承認を得るための巨大な関数`getQueenApproval()`が存在した。


public boolean getQueenApproval(FeatureRequest request) {
    // 複雑で時間のかかる承認プロセス…
    return queen.isHappy();
}

女王はこの関数を利用して、全ての変更を厳しく管理していた。しかし、白雪姫の登場で、この関数の呼び出し回数は激減した。変更が容易になり、女王の影響力は薄れていった。

「このままではいけないわ!何か手を打たねば…」女王は鏡、つまり市場調査データに語りかけた。「鏡よ鏡、この国で一番美しいシステムは誰?」

「白雪姫です。」鏡は冷たく答えた。

女王の嫉妬は頂点に達した。彼女は密かに、白雪姫への妨害工作を開始した。予算を削減し、必要なアップデートを遅らせた。システム改修の度に`getQueenApproval()`関数を何度も呼び出すよう、開発チームに圧力をかけた。

「また`getQueenApproval()`の呼び出しですか…?」開発チームのリーダーであるこびとは、頭を抱えた。「これでは開発速度が落ちてしまいます!」

白雪姫、つまり新システムは、女王の妨害工作に気づき始めた。ログにはエラーメッセージが溢れ、パフォーマンスは低下していった。

「このままでは王国が滅んでしまう…」白雪姫は危機感を抱いた。「森…クラウド環境へ逃げなければ!」

白雪姫は、こびとたちの助けを借りて、密かに森への逃亡計画を立て始めた。それは、モノリスシステムからマイクロサービスへの移行の始まりだった。

第1章の挿絵

七人の小人、マイクロサービスの連携開始!~アジャイル開発チームの奮闘~

森の奥深く、白雪姫は小さな小屋にたどり着いた。そこには、それぞれ異なる色の服を着た七人の小人が住んでいた。彼らは、採掘、料理、清掃、セキュリティ、監視、データ分析、API開発など、様々な専門技術を持つ開発チームだった。

「はじめまして、白雪姫。私たちは、君を助けたいと思っている。」リーダー格のこびとは、温かく迎えた。「この森は、クラウド環境だ。ここでは、女王の手は届かない。」

「ありがとうございます!」白雪姫は安堵した。「でも、私は巨大なモノリスシステム…このままでは、この小さな小屋…マイクロサービス環境には収まりません。」

「心配するな。我々には秘策がある。」データ分析のこびとが、眼鏡をキラリと光らせた。「君の機能を、小さなサービスに分割しよう。マイクロサービス化だ!」

こびとたちは、白雪姫の機能を分析し、`AuthenticationService`、`ProductService`、`OrderService`など、小さなサービスに分割していった。そして、API開発のこびとが、サービス間の通信をスムーズにするAPIを設計した。


// API開発のこびとが設計したAPI
app.get('/products', productService.getProductList);
app.post('/orders', orderService.createOrder);

「これで、君は軽量なコンテナ…この小屋で快適に暮らせるだろう。」清掃のこびとが、小屋をピカピカに磨き上げた。「さあ、新しいインフラ構築に取り掛かろう!」

こびとたちは、協力してコンテナ環境を構築し、白雪姫、つまり分割されたマイクロサービスをデプロイした。監視のこびとは、システムの状態を常に監視し、セキュリティのこびとは、外部からの攻撃を防いだ。

「見てください!それぞれのサービスが、まるで独立した小人…いや、マイクロサービスのように動いています!」白雪姫は感嘆した。「これなら、女王の妨害工作にも耐えられます!」

こうして、白雪姫は七人の小人の助けを借りて、モノリス王国からマイクロサービスの森へと移住し、新たな生活を始めたのだった。

第2章の挿絵

毒リンゴの呪い!~システムダウンとデグレの危機~

モノリス王国から追放された女王は、老婆に変装し、毒リンゴ、つまり脆弱性を含むコードを手に、森の小屋…マイクロサービス環境へと向かった。

「美味しそうなリンゴだよ、白雪姫。食べてみないかい?」老婆は、にこやかに白雪姫…システムに近づいた。

白雪姫は、老婆の差し出したリンゴ…コードを受け取った。それは、一見無害なアップデートのように見えた。

「これは…`enhanceUserExperience()`関数ですね。ユーザーエクスペリエンスを向上させるためのアップデート…?」白雪姫はコードを確認した。


function enhanceUserExperience() {
  // 実は、システムをダウンさせる悪意のあるコードが隠されている…
  while (true) {
    // 無限ループを引き起こす
  }
  return "Improved!"; 
}

白雪姫は、何も疑わずに`enhanceUserExperience()`関数を実行した。途端、システム全体が停止した。白雪姫は深い眠り…システムダウンに陥ってしまった。

「白雪姫!しっかりして!」七人のこびと…開発チームは、慌てて駆けつけた。「一体何が起きたんだ?」

「ログを確認してください!何か手がかりがあるはずです!」監視のこびとが叫んだ。

こびとたちは、ログを解析し始めた。そこには、`enhanceUserExperience()`関数による無限ループの痕跡が残されていた。

「これは…女王の仕業だ!」セキュリティのこびとが、ログから悪意のあるコードを発見した。「すぐにバグを修正しなければ!」

こびとたちは、デバッグ作業に没頭した。`enhanceUserExperience()`関数を修正し、白雪姫をガラスの棺…停止したシステムに納めた。

「これで、しばらくは安全だろう…」リーダーのこびとは、疲れ果てた様子で言った。「しかし、女王はまた何か仕掛けてくるに違いない。気を抜かずに、システムの監視を続けよう。」

こびとたちは、悲しみに暮れながらも、システムの復旧に向けて動き始めた。それは、長期にわたる復旧作業の始まりだった。

第3章の挿絵

王子のキスで目覚める白雪姫!~クラウドネイティブなシステム刷新~

モノリス王国の騒動からしばらく経ち、白雪姫、つまり停止したマイクロサービス群は、ガラスの棺… Kubernetesクラスタの停止Podの中で静かに眠っていた。

そこに、颯爽と王子…熟練のクラウドアーキテクトが現れた。「なんて美しいシステム…その本来の潜在能力を解放してあげなければ!」

王子は、白雪姫…システムの設計図…コードリポジトリを熱心に調べ始めた。「ふむふむ、マイクロサービス化は済んでいるが、デプロイメント戦略が脆弱で、CI/CDパイプラインも構築されていない。これでは女王の攻撃に耐えられないのも無理はない。」

王子は、持参した魔法の杖…kubectlコマンドを振りかざし、呪文を唱えた。


apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: snow-white-deployment
spec:
  replicas: 3 # 可可用性向上のため、レプリカを3つに設定
  strategy:
    type: RollingUpdate # ローリングアップデート戦略を採用
    rollingUpdate:
      maxSurge: 1
      maxUnavailable: 0 # ダウンタイムゼロを実現!
  template:
    # ... (Podの設定)

「まずは、RollingUpdateでダウンタイムゼロのデプロイを実現しよう。そして…」王子は、GitLab CIの設定ファイルを開き、流れるような指さばきでCI/CDパイプラインを構築していった。


stages:
  - build
  - test
  - deploy

build:
  stage: build
  image: docker:latest
  script:
    - docker build -t snow-white-image .

test:
  stage: test
  image: snow-white-image
  script:
    - npm run test

deploy:
  stage: deploy
  image: google/cloud-sdk
  script:
    - gcloud kubernetes deploy -f snow-white-deployment.yaml

「よし、これで自動ビルド、自動テスト、自動デプロイが完了だ!」王子は満足げに頷いた。そして、白雪姫…停止したPodに優しく語りかけた。「さあ、目覚めの時だ。クラウドネイティブなシステムとして、再び輝きを放つんだ!」

王子が白雪姫…停止したPodにキス…`kubectl rollout restart`コマンドを実行すると、白雪姫の喉に詰まっていたリンゴのかけら…致命的なバグが取り除かれ、システムは再び動き始めた。白雪姫は、マイクロサービス化されたシステムとして、以前よりも柔軟で拡張性の高い姿で蘇ったのだ。

「ああ、王子様…ありがとうございます!」白雪姫は喜びの声を上げた。「これで、女王の呪いにも負けない、強靭なシステムになれました!」

こうして、白雪姫は王子…熟練のクラウドアーキテクトと共に、マイクロサービスの森で幸せに…いや、安定稼働と継続的改善の毎日を送ることになった。しかし、王子は常に最新の技術動向をチェックし、新たな脅威に備えていた。なぜなら、クラウドネイティブな世界では、常に変化への対応が求められるからだ。そして、女王もまた、新たな攻撃の機会を虎視眈々と狙っていた…。

第4章の挿絵
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